いざ校閲の仕事を始めると、言葉の意味の違いや適切な使い分けを改めて知ることが多々あります。思い返すと、難しい言葉より日常で何気なく使う言葉ばかり。初心を忘れず一から学ぶつもりで日本語に向き合い、それが読者の信頼を守る一助になれば幸いです。 #校閲1年生 いざ校閲の仕事を始めると、言葉の意味の違いや適切な使い分けを改めて知ることが多々あります。思い返すと、難しい言葉より日常で何気なく使う言葉ばかり。その中で私が何度も見過ごしてしまった言葉を挙げました。

 

「連携」と「連係」
 運動面を担当するとよく目にする「連係プレー」。「連係」は「つながって次に及ぶこと。つらなりつながること」(広辞苑)。サッカーの戦評で、選手らがボールを切れ目なくパスし、ゴールまでつなげたことを「見事な連携プレー」と書いてあるのを時々見かけますが、「連係プレー」が適切。

 一方、「連携」は「同じ目的を持つ者が互いに連絡をとり、協力し合って物事を行うこと」(広辞苑)。国と民間が連携してプロジェクトを推進するなど、両者が二人三脚で取り組むときは「連携」と表記します。

毎日新聞用語集より

 

 目標まで切れ目ないつながりを重視する場合は「連係」、足並みをそろえて目指す場合は「連携」と考えると区別しやすいでしょうか。

 配属されて1カ月目、サッカーの原稿を読んでいたときに「連携プレー」の部分を読み飛ばしてしまいました。最終的に大阪校閲の指摘で直すことができましたが、これをきっかけに、当たり前のように言う言葉こそ辞書や用語集を引こうと反省しました。

 

「交じる」と「混じる」
 決定的な違いを言葉で説明するのが難しいこの同音異義語。使い分けの基準は、とけ合うか、とけ合わないかです。

毎日新聞用語集より

 

 新漢語林によると、「【交】とけ合わずにまざる。また、十字にまじわる」「【混】2つ以上のものがとけ合う」。一度まざると容易には元に戻らないまじり方や、まざった後にはもう元の要素を判別できない場合は「混じる」です。一方、元の要素が判別できる場合は「交じる」とします(広辞苑)。例を挙げると、白髪交じり・漢字仮名交じり文・グループに交じるなどがあります。

 

 このように、見慣れていて間違いないだろうと油断すると、思わぬ落とし穴にはまるものです。まずは一度立ち止まって辞書や用語集を引き、適切な表現なのか、誤解を生まないか考える必要があります。

 同時に事実関係も調べ、疑わしい点については問い合わせる……その間に新たなニュースが発生したら瞬時に対応しなければなりません。そして気づいたら降版時間に。もう少し考えたいけど時間内に校了しなくてはという葛藤に終わりはありません。

 恥ずかしながら、誤字脱字のチェックも調べものも、まだ満足にこなせたことはなく、いつも周囲の方やデスク・キャップに助けられています。さらに、部内だけでなく、整理記者や出稿部が先に誤りを見つけてくださったことも数えきれないほどありました。校閲は一人の目ではなく複数の人々の目によって成立する仕事であることは、新米ながら確信しています。

 今後も初心を忘れず一から学ぶつもりで日本語に向き合い、それが読者の信頼を守る一助になれば幸いです。

【屋良美香子】

初めて校閲の仕事に就いた入社1年目の校閲記者が感じていることを書きました。
#校閲1年生

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