2008年11月の「小春日和」から毎日新聞のウェブサイト内で始めた漢字の3択クイズ「読めますか?」は、きのうの「僥倖」をもって新作の打ち止めとなりました。

既発表分の再掲は今まで通り行っていきますが、新たな出題については10年目に入った2017年末で区切りとさせていただきました。この場を借り、その理由を述べます。


12月18日掲載

このクイズは、季節や時事を念頭に、その週で最もふさわしいテーマを選び、共通する語をダブりなく出題するというスタイルを貫いてきました。長期連載に伴い、例えば毎年やってくる成人の日や敬老の日といった記念日がらみにしても、使用済みでない語を探すのが次第に難しくなってきたのです。ああでもないこうでもないと悩み抜いた末、ピタッとテーマにはまる語を見つけたときの快感は何ものにも代えがたいものがありましたが、こじつけを承知で選んだ語も少なくありません。

また、難読語といっても、誰も使わないような難問奇問は避けようという方針がありました。しかし長く続けていると次第に、難しすぎず易し過ぎずという語が少なくなっていきました。画数の多い例でいえば「釁端(きんたん)」なんて語は、戦時中はこういう言葉が平気で使われていたということを知らせる意義を感じつつ出題したのですが、もちろん知らなくても何の支障もありません。「こんな漢字も、こんな読みもあるのか」という雑学的な興味を引くことはできても、それ以上ではありません。

もともとこれを始めたのは、2010年の常用漢字改定をにらみ、新聞で使える漢字が増えるけれど本当に皆さん読めるんだろうか、ということを確かめたいという意図がありました。だからなるべく常用漢字内の漢字ということを心がけましたが、それぞれのテーマに関係する語が常用漢字だけではクイズとして成立しない事情があり、それ以外の漢字も出さざるを得ませんでした。

一方で新聞記事はできるだけ常用漢字で書くという決まりがあり、それ以外の字については校閲として常用漢字に書き換えることも業務として行っていました。いかに漢字クイズは新聞記事の文章とは性格が違うといっても、常用漢字外の漢字を出題するたびに小さな後ろめたさを感じていました。

それやこれやが重なった末、10年目という節目を機にやめる決断へと至りました。

これだけの長期連載に至ったのは、「毎日ことば」などへの掲載に関わった方々、原稿の校閲をしていただいた方々など、多くの関係者の協力のたまものです。また、辞書やさまざまな言葉に関する本のおかげでもあります(写真はねた本のほんの一部)。

そしてもちろん、読者のみなさんのご回答や、ツイッター投稿を通した励まし、情報提供があってこそ、続けられたと思っています。

改めて、深謝いたします。ありがとうございました。

【岩佐義樹】

 

日本語力を磨く 校閲オンライン講座

次回は5月30日(日)の10:30~12:00で、受講料は3850円です。今回の講師は“校閲歌人”の澤村斉美記者。日本全国、世界中どこからでも参加できます。

昨年6月からオンライン化した毎日新聞の校閲講座は大変好評でリピーターも多数。回を追うごとに受講者が増えており前回は約250人でした。

校正・校閲に関心のある人はもちろん、ライターの方や文章を書くことを趣味としている一般の方々にもおすすめします。

フォローすると最新情報が届きます

Twitter